清澄で発見された植物

キヨスミミツバツツジ

清澄山は気候温暖で雨量も多く、植物の生育に適した環境に恵まれている。
古来、植物学の面では、未踏の地といわれた房総半島であるが、地名にちなんだ名の植物は少ないが、清澄には例外的に多い。
これは明治27年(1874)に、東京大学農学部附属千葉演習林が設置され、急速に研究が進み、専門の先生方が多数来訪し、採集と研究の結果、新しい植物の名前がつけられ、特に種名は地名にちなみ命名発表されたものが多い。それが、現在では各地での調査研究が進み、日本各地にこれらの植物が発見され点在している。清澄は日蓮聖人ゆかりのお寺があることで名高いが、植物の宝庫としても専門家の間では世界的に知られている。これも明治になってからと思われる。一般の方々には意外にも知られていないと思われるので、若干の特徴を加えて、ここに記録しておくこととする。参考になれば幸いである。

① キヨスミギク(アワギク)
ノコンギクに似るが茎は低く、葉は丸く先はとがる。

② キヨスミウツボ
木陰に生える白色または淡黄色の寄生植物。高さ5~10cm、花は6~7月頃頭状に集まり短い花穂を作る。

③ キヨズミイボタ
葉の裏と花序に毛がある。毛のないものをケナシキヨスミイボタと分けている学者もいる。

④ キヨスミミツバツツジ
葉の主脈に白毛、葉柄粗毛、オシベ10本、子房に褐色の毛がある。

⑤ キヨズミヤブマオ
ラセイタソウとオニヤブマオの中間型。千葉県、神奈川県、伊豆、和歌山県の海岸に分布。

⑥ キヨスミギボウシ
湿った岩場に生育。葉脈は片側5~8個できる。

⑦ キヨズミザサ
ミヤコザサに比べ葉が短い。

⑧ キヨスミダケ
稈径、稈高、枝張り係数、竹冠率、いずれもメダケより小さいので牧野、小泉両博士は1940年キヨスミメダケと命名。その後1978年に室井、鈴木両博士は標本同定の結果、この程度の違いはササ類全体を見渡したとき、品種として区別するほどのものではないという。

⑨ キヨスミコケシノブ
葉の下面腋上に宿在性の毛がある。樹幹に着床する。

⑩ キヨスミメシダ
葉柄が短く、葉軸とともに鱗片が多い。

⑪ キヨスミヒメワラビ(シラガシダ)
常緑性。鱗片は若いうちは白色半透明、後に褐色となる。

⑫ キヨスミオオクジャク
鱗片は全辺黒色。葉脈は裏面にへこむ。

⑬ キヨスミイノデ(サイゴクイノデ × イノデモドキ)
雑種。緑色が濃く光沢がある。

⑭ キヨスミオリズルシダ
羽片の上側に中肋に達する切れ込みがある。

⑮ キヨズミシダ(ヒメカナワラビ)
常緑。葉柄は細かく硬い。黒色の落ち易い鱗片が多い。

⑯ オオキヨズミシダ
常緑。全長60cm前後で、上半の小羽片は羽軸に沿着する。

⑰ キヨスミイトゴケ
湿度の高い谷間などの樹皮に垂れ下がる糸状のコケ。茎は這い、羽状に分枝する。

⑱ キヨスミシダレザクラ(シダレコハザクラ)
第2章第5節参照。
(※補足:日本の植物学の父・牧野富太郎博士が命名されたそうです。)

なお、上記の種名で、キヨズミ、キヨスミは、命名者が地名をそのように呼んでいると思いつけたものである。しかも、学名まで k i y o z u m i a n u m と記されているので勝手に訂正することはできないので、そのままに記した。

出典「天津小湊の植物」糟谷由助著